物件選びのコツですが、結構な量になってしまったのでさらに分割いたしました。読者の皆様におかれましては、もう少しだけ本トピックにお付き合いいただければ幸いです。
前回まで (総論および各論 前編・中編) のおさらい
前回までの記事で、総論で掲げた以下のフロチャートの3までが終わったことになります。
- まずは自分が新居に希望する要件を列挙する (現実性は度外視) 各論前編参照
- 1で列挙した要件に順位付けをする
- 旧居から新居に持ち込む物品の寸法を計測する 各論中編参照
- 2のリストをもとに不動産業者に相談し候補を絞る
- 4の候補物件に3のリストの物品が持ち込めるかを確認する
- 必要に応じて4に戻る
新居に求める要件と新居で使いたい物品が明確になっており、それを担当の方に提示することができれば新居探しの主導権を握ることができるでしょう。本記事ではいよいよ不動産業者を訪ねます。
いざ、不動産業者へ
どのお店にするか?
総論で説明したとおり、最近の賃貸物件探しには「釣り堀理論」が成立します。このため、どこの不動産業者にお願いしても、同じ条件で相談した場合に提示される候補物件はほぼ同じになります。時折見かけるパソコンを持っていなさそうなふるーい不動産屋さんは、釣り堀への入り方を知らないということですので、避けた方がよいと思います。それらの古い不動産屋さん (多くは地域密着型) はチェーン店と提携して、お客さんの内見時の鍵の手配などを主な業務としているらしいので (全てがそうなのかは分かりません) 、そういう裏方さんだと思いましょう。
「見つかる物件はどこのお店でも大体同じ」となると大体駅前や商店街に店舗を構えるチェーン店にお世話になることになると思います。チェーン店に対する安心感や信頼感というのは絶大で、引っ越しシーズンの春秋だと、お客さんをさばききれず夜遅く店舗の片付けをしているのにカウンターで接客中というのを見かかけたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。繁忙期ですと飛び込みだとまともに相手をしてもらえない可能性がありますので、電話なりネットなりで予約しましょう (予約しても前のお客さんの話がまとまらないと相手してもらえませんが)。
不動産会社での交渉術
アポを取って店舗を訪れたらいよいよ業者さんとの交渉です。不動産業者の担当者の方も人間ですので、当たり外れや相性はあると思いますので、最初の数分は相手の人となりをつかむための様子見をしましょう。また、魂のこもったリストを見せたい気持ちはあるかもしれませんが、いきなり「リストの通りの物件を」と突きつけるとかなりの人が面食らうと思いますので、そういう意味でも最初は様子見が大事です。
担当の方は会社に課せられた予約やノルマなどがあることから、主導権を握りたがる人が多いと思いますので、なるべく相手に合わせてこちらの要求を伝えていきましょう。聞かれたことに対する答えを確認するような自然な形でリストを出しましょう。そうすれば、担当の方に不快感を与えることなく要求を提示できるでしょう。主導権は相手にありつつ要求は伝えられるという理想的なパターンが完成します。これにより、担当の方のストレスも減り、物件探しに集中できるようになります。
先ほどから業者さんの心理面のケアの話が多いですが、「なぜ、金払ってる相手に気を遣わなければならないんだ?」という疑問が出るでしょうが、答えは「業者さんも人間だから」です。どんな些細なことでも思うように行かないと大抵の人はいら立ちが大なり小なり態度に出ますし、行動に現れてしまう人もいます。特に、繁忙期でおかしな客の相手を続けていたりするとストレスも相当でしょう。「それで給料もらってるんだろ?」と言われるかもしれませんが、そんな正論ごときでコントロールできるほど生ぬるいストレスではないと思います。そして、これはあまり言いたくありませんが、新居の鍵を比較的簡単に手に入れられる方に横柄な態度をとることのリスクも考えるべきでしょう。
良好なコミュニケーションをベースに物件探しをしていき、ぜひ理想の新居を探し当ててください。上記のようにこちらから歩み寄ったにもかかわらず、誠実な仕事をしていただけない担当者も中にはいると思います。あまのは現時点では当たりの担当者にしか配当されませんでしたので、やんわりお断りするテクニックには正直長けておりません…自分の個人情報をさらけ出す以上、ケンカ別れは避けたいところです。「自分の要望をもっとブラッシュアップして出直したい」とでも言えばよいのでしょうか?
内見 -新居の中身が知りたくて-
自分の要求と現実をすり合わせ、候補物件が見つかったらいよいよ内見です。おそらく、内見の候補物件は2~3件程度に絞られていると思います。図面的には家具も入りそうだし、写真もいい感じだし、というところが候補に挙がっているはずです。ちなみに、ネットで「賃貸 心霊写真」で検索すると、夜眠れなくなるのでご注意ください…
候補を挙げる段階でだいぶ疲れていると思いますが、希望の新居を借りるためにもうひと頑張りです。内見の際には不動産会社では見られない情報 (共用部分の掃除が行き届いているか、ドアなどの備品が壊れていないか) が大量に得られますので、よく見ておきましょう。注意していただきたいのは、築古物件の場合、トイレやバスの換気扇など「あって当然だから物件情報に書いていないんだろうなと思ったら、本当に無かった」パターンがありますので、批判的に吟味した方がよいです。あまのの住んでいる長屋はまさにこれだったのですが、他の候補物件を内見してすべてダメで不動産会社に戻って選びなおしてから来たため夜の9時を過ぎていたことから、ここに決めてしまいましたが…夜の9時で思い出しましたが、築古で安い賃貸でなくとも照明は借主持ちという物件は多いです。内見時に暗いと見るべきものが見えませんので、なるべく早い時間に行動開始しましょう。契約してから重大な見落としに気づいても後の祭りです。
頻度は不明ですが、不動産業者の中には前職が引っ越し業者という方がいらっしゃいます。「腰を痛めて荷物が運べなくなった」などのケースですね。こういう方が内見担当の時は、家具の搬入の可否などしっかり見てくれて頼もしいです。
契約は管理会社で
内見まで済ませたころにはヘロヘロでしょうが、契約しないと新居には入れません。不動産業者と管理会社が異なるケースは多いです。不動産業者と管理会社が離れている場合、電車に乗って移動する羽目になり、とても疲れます。内見で電車に乗って歩いて、また移動です。不動産業者は物件が決まって貸主≒管理会社と借主を引き合わせたらそれでさようならになります。あまのは初めての引っ越しの際にこれが分かっておらず、入居後の不明事項の問い合わせを不動産会社にするという恥ずかしいミスをしたことがあります。賢明な読者の皆様におかれましては、どうぞ笑ってやってください。
入居のタイミングは貸主と借主の都合を勘案して決めることになります。これはケースバイケースになりますので、とくにこうしろとは申し上げません。管理会社によってはその場で契約にかかわる費用の支払いを現金で求めてくることがあります。かなり面食らうと思いますが、さすがにこのばれやすい状況で詐欺を働くことはないでしょうから、契約書に問題が無ければ支払いをして鍵をもらってください。管理会社やオーナーがいい加減な人だと、契約日より前でも鍵を渡したら出入りしていいといわれることがあります。
引っ越し前の清掃作業
物件をゲットしたら、すぐに引っ越し業者に連絡したいところですが、その前に新居のお掃除をしましょう。業者さんのハウスクリーニングの後にも埃はたまります。別記事にて解説しておりますのでそちらをぜひご参照ください。
そして引越しへ…
本ブログは、開設前の構想では「おんぼろ長屋で快適生活」をキーワードにライフハックネタを紹介していく予定でした。しかし、ブログ開設時期がちょうど引っ越しピーク直前ということで、初期条件 (どんな物件か) を少しでも良くするためのあれこれを書くことにしました。「新居探し奥が深いなあ」などと考えながら記事を書き続けていた結果、いまだに記事の内容がおんぼろ長屋に入居前の状態です。しかし、それもあと見出し二つで終わりです。行くぜ新居!!!
引っ越し業者選び
不動産巡りですべてを出し切ってしまったとしても、極貧引っ越し戦士に安息など許されません。二重家賃期間を少しでも短縮するために、速やかに引っ越し屋さんを探さなければいけません。
10年くらい前からwebサービスで10を超える業者に一度に自動見積もりを出せるサービスが出てきました。聞いたことのない業者ばかりでしたが、大手よりも安く済みそうなところが多かったので、あまのも一度利用したことがあります。私見ではありますが、この手の自動見積もりサイトは利用しない方がいいと思います。当たり前のことですが、業者さんも仕事をとるのに必死ですので10件見積もり出せば13回くらい電話がかかってきます。向こうのタイミングで。日をあけてランダムな時間に電話が鳴りまくるので、かなりストレスです。依頼した自分の責任ではあるのでしょうが、さすがに後半はイライラしてきました。なぜか見積もりに出した以上の数の業者からかかってきましたし。
では、単純に大手を選べばいいのでしょうか?大手は大手で高いとか融通が利かないなどのデメリットがありますので、そうとも言い切れません。以下、大手と中小のメリット / デメリットを列挙いたします (表1)。
引っ越し業者さんは実際に荷物を運ぶので、なるべく質を求めたいところです。不動産業者とは異なり、釣り堀理論 (総論参照) は成立しませんので、どこでも一緒ということはありません。むしろ業者によって全然引っ越しの様子は変わってしまいます。高額すぎる、家具を壊される、住居を壊される、プライバシーを侵害される、暴言を吐かれるなど、考えられるトラブルはたくさんあります。私見ですが、大手でお金のかかるところの方が、社員教育が行き届いているのか、きちんと仕事をしてくれる印象です。ここでいう「きちんと」というのは多くの人が「当たり前」と考えることです。ネットで見る「あり得ないことをされた」エピソードは残念ながら大手以外の会社で起きているようです。それらを勘案すると、準大手くらいのところにはしたいと思います。「安かろう悪かろう」理論はある程度成立するというのが個人的な見解です。
引っ越し業者は海千山千なので、貧乏引っ越し中級者ごときでは詳細かつクリティカルなコメントは困難です。腕を磨いてアップデートできればと思います。
引っ越しの実際
上記のとおり、引っ越しの実際は業者さんによります。また、同じ業者さんでもネットのレビューを見ると評価がバラバラです。これを考えると、どこに依頼するにしても、業者さんに過剰な期待はせず、自分でできることはしっかり自分でやっておきましょう。梱包など客サイドでやるべきことをやっていないと、いい人そうに見えた業者の人も営業スマイルを保てなくなるかもしれません。
事前の部屋の掃除、梱包のコツ、洗濯機のパイプの水抜き、冷蔵庫の水抜きなどはどこのサイトでも扱っているでしょうし、そもそも引っ越し作業はメインコンテンツではないので、専門のサイトにお任せしたいと思います。
ご近所へのあいさつはすべきか?
あまのが学生の頃から、引っ越し時のあいさつ不要論は出ていました。当初はかなり抵抗がありましたが、今では不要論の方がメジャーな気もします (私見です)。理由としては以下のものが挙げられています。
- おんぼろ長屋の住民は深夜~早朝の数時間しか部屋にいないので挨拶できない
- おかしな住人に素性を知られるのは危険である
- 挨拶しないのが普通という流れができた
1については、おんぼろ長屋に住む人は「貧乏暇なしを地で行く人」が多いです。仕事が忙しいらしく、朝8時前に家を出て夜は1時ごろ帰宅を土日含めてずーーーっと続ける方が隣に住んでいたことがあります。こういう人に挨拶するのはタイミング的に無理だと思います。 ドアノブにお菓子などをぶら下げとくくらいしかできません。これは極端な例ですが、これに近い生活を続けている人があまのの隣人には多いです。
2については、おんぼろ長屋かどうかに関係なく一定数います。日頃のコミュニケーションがトラブルにつながるかトラブル回避につながるかはギャンブルで、結果論でしか語れません。最近では隣人がどんな人か調べるサービスなんてのも最近はあるみたいですね。あまのは基本的に引っ越し時の挨拶はしておりません。それでも、いい人ならすれ違う時に挨拶したりしてなんだかんだで仲良くなれました。義務感でコミュニケーションが発生するよりも、自然な形でコミュニケーションとるようになる方がストレスがないので個人的にはそっちの方が好きです。実際、入居時には挨拶をしなかったけれども、退去時には挨拶をしたということもありました。
3については、地域やアパートなどの特徴もあると思いますが、そういう流れは昔よりは確実にできていると思います。流れに任せるか逆らうかは貧乏引っ越し戦士一人一人の判断にゆだねたいと思います。
退去手続き
引っ越しが完了した後の旧居はがらんとして寂しいものです。兵どもが夢のあと的な風情は…ないですね。汚い状態で返そうとすると、「ここが汚いってことは他も不備だらけなんだろう?」的な疑いをもたれるので、とにかくきれいにしておきましょう。
あと、「不要なものは置いて行ってください」と言ってくれる管理会社もありますが、それは、親切で言っているのではなく、処分費用を請求するためというケースがあります。上記のセリフ、タダでとは言ってないですからね。粗大ごみや買取サービスなどで可能な限り前もって処分しましょう。自前で取り付けたエアコンなど、どうしても管理会社に任せなければいけない場合は、事前に費用を確認しましょう。
管理会社によっては、経年劣化による損耗を賃借人の瑕疵としてリフォーム代を過剰に請求する業者もいて、トラブルも多いそうです。ただ、この手のトラブルは法律関係のお話にもなってくるので、あまのがしゃしゃるべきではないと思われます。もし、今後勉強する機会があれば学んだことのまとめとして公開したいと思います。
まとめ
総論および各論x3の4つの記事にお付き合いいただき、ありがとうございます。お疲れとは存じますが、最後にもう一度引っ越しの流れを確認しましょう。
- 自分が新居に希望する要件をリストアップ (予算などはひとまず無視)
- 新居に持ち込む物品をリストアップ (寸法も測定)
- リストをもとに不動産業者に相談 (ネゴシエーションの方法に注意)
- 内見時には資料で確認できなかったことを確認
- 契約
- 引っ越し業者の選択 (安かろう悪かろうはある程度成立する)
- 引っ越し (準備をいい加減にしない)
- 退去手続き
最後までお読みいただきありがとうございました!
これまでの記事を復習したい方は以下のリンクからどうぞ!
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