物件選びのコツですが、結構な量になってしまったので分割です。読者の皆様におかれましては、御目がお疲れになるかと思われますが、お付き合いいただければ幸いです。
前回までの (総論および各論 前編) のおさらい
住居探しのポイント -総論-の最後で物件探しの大まかな流れを以下のようにまとめました。
- まずは自分が新居に希望する要件を列挙する (現実性は度外視)
- 1で列挙した要件に順位付けをする
- 旧居から新居に持ち込む物品の寸法を計測する
- 2のリストをもとに不動産業者に相談し候補を絞る
- 4の候補物件に3のリストの物品が持ち込めるかを確認する
- 必要に応じて4に戻る
住居探しのポイント -各論・前編-では、新居に求める要件リスト作成の際に考慮すべきことをまとめました。
リストアップすることにより、新居に求めるイメージを自覚することができれば、不動産業者さんとのネゴシエーションはかなりスムーズに進むことが期待できます。考えもなく新居探しに来ていることを見透かされ、主導権を奪われる危険性もぐっと減ることと思われます。
ただ、それでも不動産業者を訪ねる前にもう1ステップおくことを提案いたします。それが、以下に述べる旧居から新居に持ち込むものリストの作成です。候補物件の間取りを見たときに、どの家具をどこに置けるか、置けないかがすぐにわかり、入居の可否がぱっと判定できます。実家を出るのがはじめて、一人暮らしから一人暮らし、結婚から単身赴任など、パターンによってリストアップされるものが異なると思いますが、なるべく多くのパターンを網羅するために思いつくものはすべて列挙したいと思います。
旧居から新居に持ち込むものリスト
リストには、最低限以下の項目を書くようにしましょう: 家具の名称; サイズ; 分解の可否; 備考。デザインにもこだわりたい気持ちがある方はいらっしゃるでしょうが、生活水準があまのレベルの方には見た目など分不相応な要求であることを理解しましょう。
リストは不動産業者さんに見せることを意識して、似たような家具はまとめましょう。「カラーボックスの下の行には衣装ケース…」という具合です。新しい物品を思いつくごとに、書き直しも必要になるでしょうから、手書きよりパソコンで作った方がいいでしょう。それでは、さっそく各項目について説明していきましょう!
インテリア
「インテリア」という用語は日常会話でもよく用いる表現で、意味はみなさんご存じかと思われますが、その定義を言語化したことがある、あるいは言語化されたものを見たことがあるという人は少ないのではないでしょうか?「テーブルとかカーテンとかでしょ?あれ?テレビは?電子レンジは?」という認識の方がほとんどかなと思います。
インテリアの定義は「室内にあって隠せないもの」で、 壁紙、床材 などの建物の構築的な要素からカーテン、各種家具や照明が含まれます。広い意味では、家電も含むそうですが、この記事では家電は別枠として解説いたします。引っ越しの観点からは、収納家具や照明などが持ち込み物品に該当します。具体的には、カラーボックス、衣装ケース、本棚、机、椅子などが当てはまるでしょうか。
実家から初めて出る人は大型家具は実家に置きっぱなし、というパターンが多いと思います。その場合はここの項目については考えなくていいかもしれませんが、「どうしても新居にはこれが欲しい」という家具が一つや二つあるでしょうから、ネットのカタログなどを参考に「これぐらいの大きさのものを持ち込み予定」という形でリストアップしておきましょう。例えば、業務時間外の自己研鑽が必要なお仕事ですと、自宅にも参考書の類が必要になりますので本棚が必要になる、といった具合です。
一人暮らし→一人暮らし、一人暮らし→結婚、結婚→単身赴任という場合は家具のほとんどが新居に持ち込みとなりますので、旧居から持ち出しができるか、新居に搬入ができるかを考えなければなりません。持っていかない/持っていけない場合は処分するための費用や手続きが必要です。引っ越し屋さんが処分を代行してくれる場合もありますが、すべての引っ越し屋さんが代行しているわけではありませんので、自分で処分するつもりで準備しましょう。
基本的には目についた家具をリストアップし、ひたすらサイズを測って記録するだけです。あとは、サイズが大きくても解体することで狭小住宅にも搬入可能な場合がありますので、組み立て式だったかを思い出してメモしておくと便利です。
注意事項があっさりしすぎていますが水道管や電気系統の心配がないので、ほかの物品と比較すると考えるべきことは意外と少ないです。とっととリストアップしてほかの項目も完成させましょう。ここのステップで躓くようでは、引っ越しもうまくいかないと思った方がいいです。
白物家電 (=生活家電、家事家電)
お次は生活必需品の電化製品こと白物家電です。ネットで例を見てみると、冷暖房、洗濯機、食器洗い機、冷蔵庫、空気清浄機、電子レンジ、扇風機、ハゲロンヒーター、アイロン、掃除機、ヘアドライヤー、炊飯器、コーヒーメーカー、電気ポット…などなどたくさん出てきます。オレンジで書いた物品はそれほど大きくないですし、普通にコンセントに挿せばOKなので、本記事では扱いません。
収納系同様、初めての一人暮らしの場合には全部新しく買うという人が多いと思います。その場合、インテリアと同様、「これは譲れない」「新生活はこれで過ごすぞ」というものに関してはリストに入れておきましょう。最近は色々な便利機能付きの家電が増えていて、ネットで家電情報を検索するだけでもワクワクしますよね。あまのは経済的理由から購入できたためしがありませんが。
一人暮らし→一人暮らし、一人暮らし→結婚、結婚→単身赴任という場合は 結構苦労すると思います。白物家電を旧居から新居に持っていけない場合、処分しなくてはいけませんが、これらの家電を処分する際には粗大ごみの料金を払う必要があったり、家電リサイクル法が適用されるので結構お金がかかります。家電リサイクル法については以下のリンクをご参照ください。
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機を処分する際の手続きが書かれています。引っ越しを機に買い替えるということであれば、新しい家電を購入したお店に古い方を引き取っていただくことが可能ですので、忘れずにお店に伝えましょう。もし、買い替えなしで処分ということでも、販売店には引き取りの義務があるので、連絡すれば引き取ってもらえます。やってはいけないのが、通りすがりの廃品回収車への依頼です。「無料」と言っておきながら、トラックに積んでから高額な料金を請求するトラブルが多く報告されています。あまのは面倒くさがりなので、基本的に白物家電は全て旧居から新居に持ち込んでいます。
白物家電を新居に持ち込む際にも、やはりサイズは重要です。収納系のインテリアとの大きな違いは、分解することでサイズが小さくできないこと、そして、ホースや電源コードがはみ出しているので、その分も持ち運び時に考慮しないといけないことです。あまのが現在の住居に入居する際には、ドアの郵便受けが邪魔で冷蔵庫が搬入できませんでした。幸いおんぼろ長屋のドアでしたので、簡単に取り外しができたので数分後には搬入できましたが、あの時は焦りました。なお、搬入後に郵便受けがうまく戻らなかったため、隙間からの害虫の侵入に悩まされることとなりました。
構造だけでなく、電源や分岐水栓、ホース、アンテナなどの住居の設備に接続する部品がある場合、その対応も問題になります。古い住居の場合、テレビのアンテナは銅線を金属板の隙間に挟むタイプですし、水道の蛇口もお湯と水の二つのバルブをひねって温度調整をするタイプだと思います。前者であればテレビのケーブルを切断するだけなので対して苦労はしませんが、後者については浄水器や食洗器の設置にかなりの制限が加わります。なので、プラグの種類はしっかり事前に調べておきましょう。古い蛇口しかない築古物件に食洗器を設置する方法については、後日別に記事を掲載したいと思います。洗濯機を設置する防水パンも気になるところではありますが、規格がもともと三種類くらいしか無く、シェアもかなり偏っているみたいで、洗濯機の設置で苦労したことはありませんでした。
黒物家電 (=娯楽家電)
白物家電に対して、テレビやゲーム機などの娯楽家電を黒物家電と呼ぶそうです。「白があるなら黒もあるのかな?」と思ったら本当にあるらしいです。貧乏賃貸引っ越し中級者を自称するあまのも本記事の執筆で初めて知りました。
これらの物品はそんなに大きくないので、基本的には持っていきたければ持っていけばよいと思います。引っ越し先でゲームをしないなら置いていけばいいですし、アルファベット三文字の団体の下請け会社の訪問が面倒ならテレビも置いていきましょう。
例外はテレビやパソコンのモニタです。テレワークを効率化するために大型のテレビやモニタを購入して仕事をされている方もいらっしゃるでしょう。これらを壁掛けにしている場合、引っ越し先の壁材が石膏ボードでないといけませんので、注意しましょう。
不動産業者との交渉、その後
一気に最後まで住居選びの各論書ききってしまう予定でしたが、今までの引っ越しの際に思った「ああすれば良かった」エピソードを思い出していったら結構な量になってしまいました。そこで、不動産業者を訪ねる前に行うことを書き終えたところで一旦記事を区切ることにいたしました。
後編へ続く!
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