「これ、進研ゼミでやったところだ!」
小学生の時、少し厚い封筒がポストに投函されるのを毎月 (?) 楽しみにしていた方、いらっしゃいませんか?進研ゼミをやれば、遊びや部活と勉強を両立できるという分かりやすいサクセスストーリーと、楽しそうな副教材 (こちらが本体という声も一定数あります) の誘惑に負けた経験のある方、きっといらっしゃいますよね?最近はVRゴーグルやらタブレットやら本体の方も数十年前と比べるとパワーアップしています。 「昔のはこんなのだったよ」などと今の子供たちに言うときっとびっくりするでしょうね。
さて、昔の本体の中に「発泡スチロールでオリジナルの船を作るキット」があったのを知っていますか?下のリンクのような電熱線と発泡スチロール板のセットで、型紙に沿ってカットして、塗装などのデコレーションをしてお風呂や川で遊ぼう!というキットです。
あまのの実家のお風呂は狭かったですし、遊べる川などもありませんでしたので、その代わりに (?) 電熱線でビニール袋を切って遊んでいたら怒られました。危ないですので、やめましょう。
発泡スチロールとは
あまり楽しくない少年時代の思い出に浸っていたらイントロが長くなってしまいました。上記のように、発泡スチロールはとても身近な材料です。築古狭小物件の断熱にも一役買ってくれるのですが、実践編に行く前に、そもそも発泡スチロールとはどんなものなのかをまとめてみましょう。
発泡スチロールの化学的性質
発泡スチロールとは、気泡を混ぜたスチレンの重合体です。「ポリ」は重合の意味で、「スチロール」スチレンの別名です。構造式は以下の通りです (図1, 2)。
図1 スチレンの構造式
図2 ポリスチレンの構造式
「六角形はよく見るけど意味が分からない」という方もおられるかもしれませんので、簡単に見方を説明します。以下、構造式のルールです。
- 六角形の頂点や折れ線の角には炭素原子Cが配置されている
- Hは水素原子を示すが多くの有機化合物において大量に含まれるので省略されることが多い
- 各々の線は原子同士が共有結合していることを示す
- 二重線は二重結合を表す
- 炭素原子1つからは線が4本出る
- 水素原子1つからは線が1本出る
- 図1, 2の六角形の構造はベンゼン環と呼ぶ
- CーHなど結合様式が明らかなものはCHのように「ー」を省略することが多い
- 重合体を記述する時は繰り返し部分を () で括り)の右にnを書く
- 繰り返し部分の両端は省略することが多い
多分上のルールを見ればスチレンとポリスチレンが構造学的にどういう形なのかが分かると思います。なお、構造式のルールはもっとたくさんあります。もちろん、原子は炭素と水素以外にも山ほどあるので、スチレンやポリスチレンは比較的単純な化合物といえます。二種類の元素だけであんなに便利な材料ができるのはすごいですよね?
発泡スチロールの物性論
上述の通り、発泡スチロールは高分子化合物としては比較的単純な構造なのですが、極めて多様な性質 (しかもほとんどが有用!) を有しております。これらは、化学的組成のみに由来する性質以外にも、体積のかなりの部分が気体であることにもよります。以下、その性質たちをご覧に入れましょう。
発泡スチロールの長所
- 高い断熱性
- 軽い
- 重さのわりに衝撃に強い
- 基本色が白
- 加工が容易
- 耐水性が高い
発泡スチロールの短所
- 高熱で溶ける (加工を容易にするので一概に欠点とは言えない)
- 一部の有機溶媒に溶解する (加工を容易にするので一概に欠点とは言えない)
- 加工時に発生した屑が除去しにくい (静電気でくっつくため)
- 一部のテープとの相性が悪い
- 安っぽい
いかがでしょうか?ぶっちゃけますと、短所の3つ目と4つ目は結構無理して考えました。このように有用な材料なので、家電の購入時についてきたら、キープしましょう。「それを すてるなんて とんでもない!」
発泡スチロールと築古狭小物件
さて、この素晴らしい発泡スチロールですが、用途もいろいろだと思います。発泡スチロール工作などお手軽で楽しいので、いつか記事として掲載したいものです。あまのが家族と同居していた時には、子供おもちゃの車のバンパーを作ったことがあります。
幸せだったころの記憶に81文字ほどトリップしてしまいました。81文字で語れる幸せ。なお、本ブログはそういった幸せとは無縁の生活を営む者の修羅道ブログですので、速やかに本筋に戻りたいと思います。
おそらく、発泡スチロールが築古狭小物件で最も役に立つのは梱包か断熱の二つシチュエーションのどちらかだと思います。「旧居で使っていた物品が新居で使えない、けど捨てられない」とか、「新居で使えない物品を継続的に別居中の家族に送る」場合は前者、そうでなければ後者かなと思います。梱包関係はそんなに書くことが思いつかないので、本記事では断熱にフォーカスいたします。
入手方法
発泡スチロールの入手方法については、家電の購入などに際してついてくると書きましたが、ほかにもいくつかゲットする方法があります。
一つ目は、スーパーや家電量販店などにある「ご自由にお持ちください」コーナーです。お店によっては発泡スチロール箱はくれないところもありますが、もらえるお店が近くにあるならば利用するのも一つの手です。ただし、誰がなんの目的で使用したのかが全く不明なので、使用前によく洗いましょう。食品を扱っている店舗からもらう場合は、食品の臭いが染みついていて、住居が臭くなる恐れがあります。この記事を書いたその日に近所の青果店で発泡スチロール箱を配っておりました。実にタイムリー (図3)!
二つ目は、職場からもらう方法です。職種にもよりますが、取引先から発泡スチロール箱に入れて商品が納入され、箱はゴミ捨て場に直行するような職場にお勤めであれば、もらってしまいましょう。スーパーなどよりは触った人が限られていますし、中に入っていたものが何なのかもわかるので、安全です。ただし、厳密には捨てたもの・捨てるものであっても勝手に持ち去るのはNGだという声もありますので、官公庁などそのあたりのルールが厳しく運用されている職場にお勤めの方は気を付けてください (さすがに発泡スチロール箱の廃棄に届け出や廃棄業者による廃棄証明が必要な会社はないと思うので大丈夫だとは思いますが)。最初の一回くらいは所属上長さんにお断りした方がいいかもしれませんね。
三つ目は自分なら採用しない手段ですが、上記の方法で手に入らない場合は思い切って購入するという方法もあります。汚いリスクや注意されるリスクがなく、品質やサイズも望んだものが手に入るので、少しだけ経済的に余裕のある方なら選んでもいいかもしれません。ネットで調べると色々な商品が見つかります。一万円出せば結構な大きさのものが手に入るので、職場から廃棄されるの待ってられないという人は一考の余地があるでしょう。
段ボールの方が入手しやすいがダメなのか?
さて、引越しやスーパー、職場でも手に入ると聞くと、「段ボールの方がいいじゃん」と思うかもしれません。7年前のあまの (当時からふさふさ) も同様の考えを持ち、段ボールをたくさん集めていました。確かに、段ボールにも断熱性や加工性などの性質があるのですが、致命的な欠点が2つほどあり、使用をやめました。何かというと…
一つ目は耐水性です。水に弱いことです。窓にテープなどで貼り付けると結露を吸ってべろべろになります。そうすると窓からはがれますので、断熱性が発揮されなくなります。また、水に溶けた段ボールが窓にこびりつくと除去するのも大変です。
二つ目は空気を含むスペースが大きすぎることです。段ボールの断面は皆さん見たことがあるかと思いますが、ジグザグの紙を上と下から挟んで空気の層を含む構造を作っています。しかし、これ、見てわかるレベルの大まかさなので、押すと簡単につぶれます。なので、せっかく段ボールを手に入れてもその時点でつぶれていたら断熱には使えません。さらに、隙間が大きすぎるので、虫が入ったり卵を産み付けたりします。ネットで「スーパー 段ボール ゴキブリ」などと検索すると、わんさか記事が出てきます。これを見たら段ボールを家に置いとくのが怖くなりますよね…
上記のデメリットを上回るメリットを思いつく方は段ボールを使っても構わないと思いますが、そんな人いるのでしょうか?
追記:ゴキブリ退治をしたい人は以下の記事もチェックしましょう!
発泡スチロールの使い方
さて、手に入れた発泡スチロールですが、どうやって使うのでしょうか?答えは切って貼るだけです。
切る
上で述べたとおり、発泡スチロールは加工性に優れるので、なんでも切れます。ただ、だからといって適当に手でちぎったり割ったりすると、散らかります。なので、ある程度きちんとした道具は用意した方がよいです。カッターや電熱線が該当します。カッターは刃こぼれすると切れなくなる、電熱線は慣れないと凸凹するという非常にマイナーな欠点がありますが、問題なく使えると思います。以下のような製品があれば問題なく切れるでしょう。巻き尺で窓の寸法を測って、切断または溶断するラインを正確に引きましょう。巻き尺ですが、あまりに安すぎると、ストッパーがすぐに利かなくなるので、そこそこしっかりしたものを選ぶのがよいと思います。冒頭で出てきた糸鋸みたいな電熱線は苦手という方は、半田コテ型のものを使ってみましょう。
貼る
発泡スチロールを板状に成形した後は、貼っていくだけなのですが、貼るのにもいくつか方法があります。両面テープやガムテープで貼る方法と、接着剤を使う方法です。テープはお手軽な反面、結露や紫外線で劣化する、発泡スチロールとの相性が悪い製品があるなどの欠点があります。テープには以下のような種類が存在するのですが、窓や窓枠と発泡スチロールの貼り付けに使えるのは一部になります。ちなみに、一般的にガムテープと呼ばれるものの中には布テープや紙テープなど様々なものが含まれております。誤用が定着しているものもあり、定義が混沌としております。混乱してしまうかもしれませんがあしからず。
- OPPテープ
- マスキングテープ (養生テープ)
- 布テープ (粘着テープ)
- 紙テープ (クラフトテープ、もともとガムテープといえばこれ)
- セロテープ
- ビニールテープ
- 両面テープ
これまでの経験からどれがよくてどれが悪いかは何となくわかると思います。コストとはがれにくさを考えると、布テープ以外の選択肢はないかなと思います。はがすのが大変ですが、そう簡単に引っ越せるようなブルジョアな方々にはそもそも発泡スチロールによる断熱など無縁ですので、はがれにくさは度外視でよいと思います。安いので結構です…といいたいですが、厚みや接着の持続性からいうと、やはりちゃんとしたメーカーのものがいいです。貼り直しすると結局高くつきますからね。
接着剤は見た目はきれいに接着できるのですが、溶かしてつけるタイプのものは溶かしすぎに注意です。また、窓を覆うレベルの大きさの発泡スチロールの接着となると、かなりの量の消費が見込まれます。すべての場所に使うのはコスト的にはおすすめはできません。
しかし、隙間に発泡スチロールの切れ端を詰めるなど、限定的なシーンにおいて活躍ができる可能性があります。商品は色々ありますが、使うなら以下のようなしっかりしたものを状況を選んで使いましょう。
どこまでやるか?
さて、発泡スチロール箱がゲットできました。切れました。つける準備ができました。次なる問題は「何枚重ねればよいか?」です。問題の窓の断熱性や発泡スチロール板の厚さや品質に依存しますので、「〇枚」と断言はできません。早朝や帰宅直後に手をかざし、冷たいと感じたところに足していきましょう。あるいは、天気のいい日に窓を見ると、図4のごとく光が透ける部分が見えますので、そこに足しましょう。
本ブログは、見た目度外視で健康で文化的な最低限度の生活を営むことを目標としておりますので、ガムテープと発泡スチロールがむき出しでフィニッシュですが、多少生活に余裕のある方はクロスでも貼ってあげればよろしいかと。ついでに壁紙クロスでも断熱しちゃいましょう。
作業後には大量の発泡スチロールの屑が出てしまいます。ほうきやモップの類では静電気でくっついtれしまうので、掃除機で一気に吸いましょう。ダイソンみたいな立派な掃除機をいつか買うのがあまのの夢です。昔よりは安くなったんですけどねー
国産でもかっこよくて性能がいいものは多いですので、ブランド志向でなければ国産品という手もあります。国内メーカーでも企業名が横文字だったりすると分かりにくいですが。
ツインバード工業株式会社は新潟県燕市に本社を置く1951年創業の老舗企業です。浮ついた感じもなくて、あまのは結構好きです。出身地が近いというのもありますし。掃除機以外にも色々な家電を扱っています。クーポンも配布してますし、海外の高すぎる家電やすぐ壊れる家電に辟易している仲間たちにはお勧めです。
まとめ
窓一枚分でも結構大変ですが、少しずつコツコツ貼っていくことで、少しずつ断熱効果が得られます。コツコツやっていくあたりが進研ゼミに通じるところあると思います。少年・少女時代のひたむきさを思い出してレッツトライ!
コメント
These are really fantastic ideas in on the topic of
blogging. You have touched some nice points here.
Any way keep up wrinting.